ナルコス:メキシコ編
『ナルコス:メキシコ編』は、カルロ・バーナードとダグ・ミロによって創作された、アメリカ合衆国のNetflixの犯罪ドラマシリーズである。 概要『ナルコス:メキシコ編』はメキシコの麻薬戦争を、独立した数多くの中小の麻薬組織が乱立していた1980年代前半から2000年代前半にかけて、当時起きた出来事と登場人物を基に、当時の映像と創作を取り入れて描く。主にスペイン語と英語が使われる。 当初は『ナルコス』のシーズン4として企画されていた。『ナルコス』のシーズン1から3がコロンビアの麻薬戦争を扱っていたのに対し、本シリーズはメキシコを主要舞台にアメリカとコロンビアを描く。 2018年11月16日にNetflixで配信開始された[1]。2018年12月5日、シーズン2の製作が発表され[2]、2020年2月13日に配信された[3]。2020年10月28日、シーズン3の製作が発表され[4]、2021年9月20日、シーズン3が最終シーズンとなることが発表され、2021年11月5日に配信された。 あらすじシーズン11981年、グアダラハラ・カルテルは元メキシコ連邦警察出身の強力な指導者ミゲル・アンヘル・フェリクス・ガジャルドを得て、抗争を経て多くの麻薬組織"プラサ"を統合する。フェリクスはやがてやがて腐敗したメキシコ政府当局や政治家を取り込み、アメリカ市場にマリファナとアヘンを輸出して巨益をあげる。 やがてフェリクスはコロンビアのカリ・カルテルとメデジン・カルテルのコカインの、メキシコを経由したアメリカへの輸送にも乗り出す。アメリカDEA捜査官でメキシコ系のエンリケ・"キキ"・カマレナは身重の妻と息子とともにカリフォルニア州からメキシコのDEAグアダラハラ支局に赴任して捜査に加わるが、メキシコの政界を巻き込んだ構造的な腐敗に直面する。 キキは更なるフェリクスの捜査を進め、広大なマリファナ畑を壊滅させるも、報復として1985年2月にグアダラハラで誘拐され拷問の末殺害される。怒ったキキの妻やDEAの上司の奔走がアメリカ・メキシコ両政府を動かし、幹部のドン・ネトやラファは逮捕され、組織は危機に陥る。 だがフェリクスは政府幹部が自分に協力した証拠と賄賂を使ってメキシコ司法警察のカルデローニによる逮捕を逃れ、緩みかけた組織を守る。キキの上司も、DEAに協力したカルデローニも転出させられる。 キキの死によってDEAとアメリカ政府、フェリクスとグアダラハラ・カルテルとの闘争が始まり、DEAはフェリクスとグアダラハラ・カルテルを追う新チームの指揮官"ウォルト・ブレスリン"と彼の部下達をメキシコに派遣し、"レジェンダ作戦"を開始する。 シーズン2キキ殺害の報復のためにDEAはレジェンダ作戦を立て、指揮するウォルト・ブレスリンは誘拐と拷問をもためらわずに殺害犯を探す。キキ捜査官の殺害の経緯を知る国防大臣の甥を逮捕するが、捜査は政治的判断からアメリカ国務省によって終結させられる。 国境を介してカリフォルニア州のサンディエゴに接するティフアナ・カルテルを通るシナロア・カルテルの麻薬に、フェリクスが税を課して両カルテル間に緊張が高まる。シナロア・カルテルの幹部のエル・チャポはティフアナを通さないためにトンネルを掘る。ウォルトは両カルテルを対立させるためにトンネルの存在をリークし、ティフアナ・カルテルはトンネルを破壊する。 シナロア・カルテルのパルマは、国境を介してテキサス州のエルパソに接するフアレス・カルテルのアコスタと組み、フェリクスに対抗しようとする。これをかぎつけたフェリクスはパルマとアコスタの殺害を命じる。アコスタはウォルトに接近し新聞に暴露記事を載せるが、メキシコ連邦警察とこれに協力するFBIに襲撃されて殺される。 しかし麻薬の押収が増えてフェリクスは苦境に落ちる。フェリクスはマリアと離婚し、イサベラはフェリクスに隠れ、ティフアナ・カルテルと組んでアメリカにコカインを輸出しようとする。フェリクスはCIAによるニカラグアのコントラへの武器輸送を請け負ってCIAに食い込む。 フェリクスは、ライバルのガルフ・カルテルの指導者フアン・ゲラに近い、メキシコ大統領候補の当選を不正行為で防ぐ。コロンビアのカリ・カルテルのパチョと交渉し、そのコカイン輸送をめぐってガルフ・カルテルと張り合う。アマドに命じてカリ・カルテルの大量のコカインを中古のボーイング727を使いアメリカに空輸する。ウォルトはアマドの飛行機に追跡装置をつけるが、囮に騙されてチームのほとんどはカルテルに殺され、ウォルトは閑職に左遷される。 フェリクスの密告により、1987年にロサンゼルスでカリ・カルテルの大量の麻薬と金が押収されたため、輸送費を払えなくなったカリ・カルテルはフェリクスにアメリカでの販売権を分け与える。フェリクスはパルマを赦す代わりにその妻子を殺して見せしめとし、マリアは再びフェリクスから去る。 フェリクスは各プラサを集めて会合を開くが、フェリクスに反発したアルジャーノ・フェリクス兄弟のティフアナ・カルテル、エル・チャポのシナロア・カルテル、そしてアマドのフアレス・カルテルはすべて連合から抜ける。フアレス・カルテルはカリ・カルテルのアメリカへの麻薬輸送を請け負う。またティフアナ・カルテルはイサベラをティフアナから追い出す。 1988年に、裏ではカルテルと密接な関係を保ちつつ、汚職追放を推し進めることを公約し、さらに選挙管理委員会の不正行為に助けられたカルロス・サリナス・デ・ゴルタリが大統領となった。メキシコは、アメリカのビル・クリントン大統領が中心となったNAFTAへの加盟を望む。 これにより「目に見える浄化」を求めたメキシコ政府からも見切られたフェリクスは、1989年4月にカルデローニに逮捕される。現場に復帰したウォルトに刑務所で会ったフェリクスは、「プラサ」崩壊に伴うカルテル間の抗争によるメキシコ麻薬戦争の激化を予想する。 シーズン3フェリクスの逮捕後、フェリクスの予想通りに各カルテルはバラバラの行動をとりメキシコ麻薬戦争は激化する。NAFTAが影響を与え始める。 国境越しにテキサス州のエルパソと接するチワワ州のフアレスでは、アマドが逮捕されるも3か月後に釈放される。服役中に娘アナを失う。フアレス・カルテル内のライバルの指導者アギラルを殺す。パブロ・エスコバルが殺されてコロンビアのメデジン・カルテルが壊滅した機会をとらえ、パチョを通じメデジン・カルテルのライバルであるカリ・カルテルと同盟する。 フアレスの警官ビクトルは行方不明の少女テレサを探す。ウォルトはエルパソの支局に勤務し、フアレス・カルテルへの潜入捜査をはかるも失敗する。妻が仕事を得たシカゴへの異動を申し出ながら、アマドの情報を得るためにビクトルに接近する。テレサの遺体が発見され、ビクトルは遺体に残ったDNAの検査と引き換えにアマド逮捕を狙うDEAに協力する。 しかしNAFTA加盟後の経済危機のためにビクトルは人員整理の対象となり、アマドの弟ビセンテの店の用心棒となりながらテレサ殺人犯を探して射殺するも、女性の連続殺人は止まらない。そんな中でビクトルはDEAへの内通が露見して殺される。 国境越しにカリフォルニア州のサンディエゴに接するバハ・カリフォルニア州のティフアナでは、新聞「ラ・ボス(声)」の若手記者のアンドレアがティフアナ・カルテルを取材し、アレジャノ兄弟と与党「PRI」の政治家ハンク・ゴンザレスとの密接な関係を知る。フアレス・カルテルからハンクへの資金の流れを調査する、ラ・ボスもテロの標的になる。 アメリカ国境に面していないシナロア・カルテルはティフアナ・カルテルに払う通行税に苦しむ。国境ルートを奪うためにエル・チャポはベンハミンの誕生日パーティーを襲撃するも失敗する。両カルテルの全面抗争が始まり、1993年にはグアダラハラ空港でのカルテル間の銃撃戦でフアン・ヘスス・ポサダス・オカンポ枢機卿が巻き添えで亡くなる。 これにはメキシコ国民からカルテルへの反発が強まり、メキシコ政府は軍のレボジョ将軍に両カルテルの撲滅作戦を任せ、ウォルトはシカゴ転勤を遅らせてティフアナに行き軍に協力する。シナロア・カルテルのエル・チャポは逃走中に逮捕され収監される。ベンハミンは姿を隠す。軍とウォルトはラモンの子分の若者アレックスを捕らえて拷問して協力させるも、アレジャノ兄弟を見つけられない。 アマドは抗争を利用してハンクおよびカリ・カルテルと結び、ビジネスは隆盛する。だがカリ・カルテルは司法取引でパチョら幹部たちがコロンビア政府に自首して事業を縮小し、フアレス・カルテルとティフアナ・カルテルは共にドラッグの供給を絶たれる。1994年にティフアナでルイス・ドナルド・コロシオ次期大統領候補が暗殺される。 兄ベンハミンの不在中、弟ラモンとともにティフアナ・カルテルを仕切るエネディナはアマドに同盟を申し出るも拒否され、報復攻撃を仕掛ける。独立の麻薬輸送業者のエル・マヨは弱体化したシナロア・カルテルに加わり、アマドの協力を得てティフアナ・カルテルの事業を侵食し抗争は激化する。麻薬王となったアマドは引退を考え始める。 「ラ・ボス」のアンドレアのチームは、フアレス・カルテルがハンクに送るべき金をレボジョ将軍に送りティフアナ・カルテルの撲滅を頼んでいたことを知り記事にする。レボジョ将軍は逮捕されて軍の対カルテルの作戦は中止される。アマドはハンクを恐れて身を隠す。面目を失ったメキシコ政府とDEAもアマドの行方を探す。 アマドは顔の整形手術中に死亡したとされる。ベンハミンは隠遁から復帰する。ウォルトはアレックスを証人としてティフアナ・カルテルから保護するも逃げられ、アレックスは遺体で見つかる。アンドレアの取材を受けて拷問を暴露する。「ラ・ボス」の編集長サルガドはティフアナ・カルテルに襲撃される。 エル・チャポは刑務所内からシナロア・カルテルを指揮し、ティフアナ・カルテルへの攻撃を止めさせ、自分の権威の障害となる人物を移送させる。ハンクは追及を逃れる。エネディナはエル・マヨを追わせるが、報復にラモンを殺される。エル・マヨはフアレスを通る麻薬運送を考え、エル・チャポに脱獄を求める。 登場人物メキシコ人およびコロンビア人グアダラハラ
フアレス
シナロア
ティフアナ
その他
アメリカ人
エピソードシーズン1のエピソード
シーズン2のエピソード
シーズン3のエピソード
製作準備2016年9月6日、『ナルコス』のシーズン2の配信開始の直後、Netflixはシーズン3および4の更新を決定した[5]。シーズン4の製作は2017年の後半、シーズン3の配信開始後に始まった。2018年7月18日、シーズン4は新シリーズ『ナルコス:メキシコ編』としてキャストを一新することが発表された[6]。 キャストおよびクルー2017年12月、マイケル・ペーニャ と ディエゴ・ルナの主演が発表された[7] 。数日後、Matt Letscherのレギュラー出演が発表された[8]。 他には Tenoch Huerta Mejía、 Joaquín Cosío、Teresa Ruiz、Alyssa Diaz、José María Yazpikが出演する[9]。 メキシコ人監督のアマト・エスカランテとAlonso Ruizpalaciosらが監督をする[9]。 ロケーション調査スタッフの殺害2017年9月15日、シリーズのロケーション場所調査スタッフのCarlos Muñoz Portalが、メキシコ中央部のTemascalapaの郊外で複数の銃弾を受けて殺された[10][11]。メキシコの司法長官は、目撃者はいないが捜査は継続すると発表した[12]。麻薬ギャングの事件へのかかわりが取りざたされている [13]。2018年5月現在事件は解明されていない[9]。 出典
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