デ・ハビランド ゴーストデ・ハビランド ゴースト
デ・ハビランド ゴースト(de Havilland Ghost、当初の名称はHalford H-2)は、デ・ハビランド社の2番目のターボジェットエンジンであり、民間航空(英国海外航空)で使用された最初のジェットエンジンである。デ・ハビランド ゴブリンの拡大版であり、最初のジェット旅客機であるデ・ハビランド コメットの他、デ・ハビランド ベノム、サーブ 29 トゥンナンなどに搭載された[1]。 設計と開発デ・ハビランドは、後にコメットとして実現する「500mph (800km/h) で大西洋横断可能」なジェット旅客機計画」の研究を1943年に開始したが、これがゴーストの誕生に繋がっている。フランク・ハルフォード(Frank Halford)が設計した最初のジェットエンジンである H-1 (後のデ・ハビランド ゴブリン)の生産は開始されたばかりであったが、ハルフォードはコメットに必要な出力を、H-1 の単純なスケールアップで実現した。H-2は、H-1が小型の燃焼器を16個持っていたのに対し、より大型の燃焼器10個とし、それぞれの燃焼室により多くの空気を送り込めるように「分割型空気取入口」を採用した。プロトタイプが作製されている最中に、デ・ハビランドはハルフォードの会社を買収し、デ・ハビランド発動機(de Havilland Engine Company)が設立されたため、H-1およびH-2は、それぞれゴブリン、ゴーストの名称が与えられた。 ゴーストは1944年には地上試験が開始され、1945年には飛行試験が実施された。これはコメットやデ・ハビランド ベノムの機体の完成にずっと先立っていた。この時点までに、ゴーストはスウェーデンのJxR戦闘機プロジェクト(後のサーブ 29 トゥンナン)での採用が決定していた。トゥンナンの設計中、スウェーデンはスイス経由でドイツの後退翼のデータを入手し、トゥンナンにも後退翼が採用された。トゥンナンの初飛行は1948年であった。量産用トゥンナンには、Svenska Flygmotor(後のボルボ・エアロ)がライセンス生産したRM2が搭載された。 ゴーストの次の採用例は、1949年7月27日に初飛行したコメットであった。このプロトタイプ機は推力 5,000 lbf(22 kN)のゴースト 50 を搭載していたが、より強力なエンジンが開発中であったため、これは過渡的な処置であった。強力なロールス・ロイス エイヴォンを搭載した機体は、コメット 2 となる予定であったが、エンジンの開発は遅れていた。このため、ゴースト搭載のコメット 1 が量産されることとなった。ゴーストの推力不足を補うため、薄い外材を使用することによって軽量化が図られた。これが、後に金属疲労による連続事故の一因となった。コメット用としては複数のバージョンのゴーストが使用されたが、最後のゴースト 50-Mk.4は、金属疲労問題を解決した新しい胴体を持った、コメット 1XBに搭載されている。 イギリス空軍は、デ・ハビランド バンパイアの搭載量を増加する改良を依頼したが、それには大きなエンジンが必要とされた。この性能向上型はデ・ハビランド ベノム(当初はバンパイア FB.8)として知られているが、バンパイアとの共通点は多かった。ゴーストを搭載したベノムの初飛行は1949年9月2日であった。この時点までに、推力4,850 lbf(21.6 kN)を出すMk.103 が完成していた。ベノムは主に戦闘爆撃機として使用されたが、夜間戦闘機としても使用された。イギリス海軍艦隊航空隊も要撃機としてベノムを採用し、シーベノムという名称で広く使用された。 バリエーション
採用機種仕様(Ghost 50)一般的特性
構成要素 性能
関連項目参考資料脚注出版物
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