シソンヌ (仏 :sissonne )は、バレエ における技法の1つ。跳ぶパ に分類される[ 1] 。5番ポジション からドゥミ・プリエ をして両足で踏み切って跳び、片足で着地する動きを指す[ 2] [ 3] [ 4] 。この用語は、パを考案したフランス の伯爵 の名前に由来するという[ 2] [ 3] 。ただし、語源 については異説もみられる[ 5] [ 6] 。
語源
シソンヌ・フェルメ(眠れる森の美女がらオーロラのヴァリアシオン
シソンヌは跳ぶパの1種で、基本の概念としては、5番ポジションからドゥミ・プリエ をして両足で踏み切って跳び、片足(ドゥミ・プリエの状態になる)で着地する動きを指す[ 1] [ 2] [ 5] [ 4] 。跳ぶ方向は、前、横、後ろのいずれでも実行される[ 3] [ 7] 。
シソンヌという単語は日常で使うフランス語にはなく、人名に由来するといわれる[ 2] [ 3] 。1565年にフランスの宮廷舞踏会で、シソンヌ伯爵(Comte de Sissonne )という名の貴族がこのパを考案したため、その名をとって呼ばれるようになったという[ 2] [ 3] [ 5] [ 4] 。
語源については、異説もみられる[ 5] [ 6] 。ハサミ を思わせる動きであることから、フランス語の ciseaux (ハサミ)が変化したものという説がある[ 5] [ 6] 。バレエ研究家の赤尾雄人 は、自著『バレエテクニックのすべて』(2002年)でイタリア語 発祥の説を唱え「分離・分割」を意味する scissione が変形したもの、または「分割する」という意味を持つ動詞 scindere の過去分詞 形 sciso から派生した言葉ではないかと記述している[ 5] 。
主な種類
シソンヌは着地せずに空中に残す片方の足の位置や着地の仕方など、あるいは流派によってもさまざまな名称がある[ 8] 。ごく基本的なものは、「シソンヌ・サンプル」(sissonne simple )、「シソンヌ・フェルメ」(sissonne fermée )「シソンヌ・ウーヴェルト」(sissonne ouverte )に分類される[ 3] [ 4] 。
シソンヌ・サンプル
サンプル(simple )は「単純な」という意味である[ 2] [ 4] 。シソンヌの基本中の基本といえるジャンプであり、5番ポジションから両足で踏み切って跳び、着地しないほうの足をシュル・ル・ク・ド・ピエ[ 注釈 1] してもう一方の足で着地する[ 2] [ 4] 。前でシュル・ル・ク・ド・ピエを行うと「シソンヌ・サンプル・ドゥヴァン」(sissonne simple devant 、devant は前でという意味)、後ろで行うと「シソンヌ・サンプル・デリエール」(sissonne simple derrière 、derrière は後ろでという意味)と呼ばれる[ 2] 。チェケッティ 派ではこのパを「タン・ルヴェ」(temps levé )と呼んでいる[ 2] [ 7] 。
シソンヌ・フェルメ
フェルメ(fermée )は 「閉じた」 という意味で、着地後にすぐ両足を閉じるパである[ 3] [ 4] 。5番ポジションから両足で踏み切り、前、横(左右)、後ろのいずれかの方向に跳び片足で着地する[ 3] [ 4] 。着地後、すぐにもう一方の足を5番ポジションに引き寄せて閉じる[ 3] [ 4] 。跳ぶ方向が前方であれば「シソンヌ・フェルメ・アン・ナヴァン」(sissonne fermée en avant )、後方に向かえば「シソンヌ・フェルメ・アン・ナリエール」(sissonne fermée en arriere )、横へ向かえば「シソンヌ・フェルメ・ドゥ・コテ」(sissonne fermée de cote )と呼ばれる[ 4] [ 8] 。『眠れる森の美女 』第3幕グラン・パ・ド・ドゥ でのオーロラ姫のヴァリアシオン などで見られる[ 12] 。
シソンヌ・ウーヴェルト
ウーヴェルト(ouverte )は「開いた」という意味で、着地後も足を上げた(開いた)ままにするパである[ 3] [ 4] 。5番ポジションから両足で踏み切り、前、横(左右)、後ろのいずれかの方向に跳び片足で着地する。片足で着地したら、もう一方の足を下ろさず空中に上げたままで保つ[ 3] [ 4] 。跳ぶ方向による名称は、シソンヌ・フェルメと同様である[ 4] [ 8] 。シソンヌ・ウーヴェルト・アン・ナヴァン(前方に跳ぶシソンヌ・ウーヴェルト)は『ジゼル 』第2幕などで見られる[ 5] 。
脚注
注釈
^ sur le cou de pied、直訳すると「足首の上に」という意味で、片足がもう一方の足首に触れている状態のこと[ 9] [ 10] [ 11] 。日本では「スュル・ル・ク・ド・ピエ」あるいは単に「ク・ド・ピエ」などともいう[ 9] [ 10] [ 11] 。
出典
^ a b 川路(1994)、p. 65
^ a b c d e f g h i 川路(1980)、p. 61
^ a b c d e f g h i j k 『バレエ用語集』p .70
^ a b c d e f g h i j k l m 石島みどり. “大人バレエの技術解説7 「シソンヌ」 ”. All About. 2016年1月2日 閲覧。
^ a b c d e f g 赤尾、pp. 121-123
^ a b c 『オックスフォード バレエダンス辞典』p. 209
^ a b 川路(1994)、pp. 77-81
^ a b c 川路(1980)、pp. 61-66
^ a b 『バレエ用語集』p .18
^ a b 川路(1980)、p. 5
^ a b 文葉. “シュル・ク・ドゥ・ピエ(仏/ sur le Cou-de-pied) ”. Chacott . 2016年1月2日 閲覧。
^ 文葉. “シソンヌ(仏/ sissonne) ”. Chacott . 2016年1月2日 閲覧。
参考文献
外部リンク