コピーバンドコピーバンド(copy band)は、有名なバンドの楽曲を複製し、演奏するバンドを意味する和製英語。 概要バックバンドを率いているソロアーティストの楽曲をコピーするバンドもある。多くの場合は、特定のバンド、アーティストだけコピー演奏し、衣装やアクションなども似せていることが少なくない。楽曲の版権会社が公認している高い演奏技術、パフォーマンスを備えたコピーバンドでも、マスコミなどからは「単なるそっくりさんバンド」として見られることもある[1]。 英語では、カバーバンド(cover band)またはカバーズバンド(covers band)、トリビュートバンド(tribute band)[2]という。これらは次第に、日本でもよく使われるようになるなかで、「コピー」、「カバー」、「トリビュート」の意味する事柄の違いから、類義語でありながら、それぞれに様々な定義づけが行われ、異なるニュアンスで使われることも増えてきている。 変遷1950年代〜1970年代コピーバンドが世界的に盛んになったのは、1950年代以降のことで[注釈 1]、ポピュラーなどの楽曲の楽譜、特にバンド向けの楽譜が市販されていない時代から始まっている。そのため、耳コピーで採譜・暗譜するスタイルが多かった。 日本では、大学のサークルなどを中心にピーター・ポール&マリー、ビートルズ、ベンチャーズ、ローリングストーンズなど海外のバンド、とりわけフォークグループのコピーバンドが増えたが[注釈 2]、カントリー系、ジャズ系、ロック系、メタル系など、多ジャンルにわたってコピーバンドが増えていった。さらにグループ・サウンズブームが到来すると、そうしたグループのコピーバンドも登場した。聴衆も演奏者もコピーバンドという認識はなく、人気バンドも多く、セミプロとして活動するコピーバンドも存在した。また、コピー演奏の経験のなかで、腕を磨き、音楽の技術と知識を向上してプロになったミュージシャンは無数にあった[注釈 3]。 1980年代〜1990年代やがてオリジナル曲を演奏するバンドが増え、ニューミュージックブームのなかでシンガーソングライターが多数登場するようになると、コピーバンドの経験者のなかから、オリジナル曲を中心として演奏するバンド・ユニットが増えていった。 1980年代末になると、特定のアーティストの楽曲をコピー演奏するコピーバンドは下火となったが、その後も、コピーバンドのなかから優れたアーティストが多く登場している[注釈 4]。 海外ではアーティストやバンドがしばしば自分たちのコピーバンドを前座として使うが、ALFEEは、コピーバンドの演奏水準の高さに着目し、1986年8月3日に開いた東京湾13号埋立地での10万人コンサートでは、開場から開演までの間、特設ステージで10組のコピーバンドを前座として演奏させた。 2000年代以降最近では、楽曲をカバーする際にも、独自のアレンジを施すようになり、忠実なコピー演奏をするバンドは必ずしも多くない。 しかし、BOØWY、JUDY AND MARYなど人気バンドが解散していくなかで、こうしたバンドのファンが新たにコピーバンドを結成するケースも目立つようになり、各地で活動を継続している。また、解散したバンドのコピーバンドばかりでなく、GLAY、B'zなど現存するバンドのコピーバンドやaiko、椎名林檎といったソロアーティストの楽曲をコピー演奏するバンドも少なくない。 海外では、ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、ピンク・フロイド、U2など伝説的な著名バンドのコピーバンドが数多く存在する[3]。 類義語の定義と用法カバーバンドとの違いコピーバンドは、日本独特の和製英語であり、カバーバンドの同義語であるが、コピーバンド、カバーバンドの語源である、コピーとカバーの違いに関する定義に基づけば、一定の区別が可能である。 コピーとカバーの違いについて、以下のような考えがある。
以上のようなコピーとカバーの違いの定義づけにもとづいて、各バンドをコピーバンド、カバーバンドのいずれか、判別する場合もある。 「カバーバンド」の広義の用法「コピーバンド」の別の呼称である「カバーバンド」の用法として、最近はより広義な使われ方がされている。 アニメソングカバーバンド[5]、ゲーム音楽カバーバンド[6]、オールディーズカバーバンド[7]というふうに、従来のような、特定のバンドの楽曲をカバーするというバンドの意味よりもジャンル全体の楽曲をカバーするバンドという意味で使用されることも増えてきている。 「トリビュートバンド」の様々な定義→「トリビュートバンド」も参照
「コピーバンド」、「カバーバンド」の中に「トリビュートバンド」を標榜するバンドが存在し、「トリビュートバンド」の様々な定義が行われている。 脚注注釈
出典
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