グランツパス(Grants Pass)は、アメリカ合衆国オレゴン州ジョセフィーン郡の郡庁所在地[5]。人口は3万9189人(2020年)。州間高速道路5号線、ローグ川沿いでメドフォードの北西に位置する。
歴史
1825年から1843年にかけてハドソン湾会社のわな猟師たちが西洋人として初めて現在のグランツパスを通りかかった。その後もウィラメットバレーへ向かう人たちが度々この地を訪れた[6]。1852年、クレセントシティ近海で難破した船乗りがジャクソンビルで金脈を発見、より豊かな金鉱がグランツパス南方25マイルの位置にあったため、グランツパスは急速に発展した。1865年5月22日には郵便局が設置され、またジョセフィーン郡の郡庁所在地にも選ばれた。この際、南北戦争の英雄でビックスバーグ方面作戦を成功させたグラント将軍から「グランツ・パス」と命名された[7]。1883年にはオレゴン・カリフォルニア鉄道がグランツパスまで開通、1887年には最初の教会であるニューマン・メソジスト教会が完成した[8]。
地理
グランツパスはローグバレー沿いに位置し、ローグ川が市内を流れている。また、アメリカ国道199号線が市内を通り、州間高速道路5号線と接続している。
アメリカ合衆国国勢調査局によると、総面積は28.57km²、陸面積は28.15km²で水面積は0.41km²である。
気候
モットーである「イッツ・ア・クライメイト!」に違わず、晴れ日が非常に多い。ケッペンの気候区分によると、グランツパスは地中海性気候に分類される。夏は暑く乾燥しているが夜の冷え込みは厳しく、冬は比較的穏やかで降水量が多い。
植生はオレゴン州の他地域と大きく異なっていて、イチゴノキ属の植物、常緑性や落葉生のオーク、マンザニータ、ヤシなどが生えている[9]。
オレゴン州グランツパス (1981–2010)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
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最高気温記録 °F (°C)
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71 (22)
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76 (24)
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86 (30)
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98 (37)
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102 (39)
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110 (43)
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114 (46)
|
111 (44)
|
108 (42)
|
99 (37)
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77 (25)
|
75 (24)
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114 (46)
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平均最高気温 °F (°C)
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46.6 (8.1)
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52.9 (11.6)
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58.8 (14.9)
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64.4 (18)
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72.4 (22.4)
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79.7 (26.5)
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88.5 (31.4)
|
88.8 (31.6)
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82.2 (27.9)
|
69.1 (20.6)
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52.1 (11.2)
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44.3 (6.8)
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66.7 (19.3)
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日平均気温 °F (°C)
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40.9 (4.9)
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44.3 (6.8)
|
48.1 (8.9)
|
52.2 (11.2)
|
58.8 (14.9)
|
65.1 (18.4)
|
71.8 (22.1)
|
71.3 (21.8)
|
64.7 (18.2)
|
55.2 (12.9)
|
45.4 (7.4)
|
39.8 (4.3)
|
54.8 (12.7)
|
平均最低気温 °F (°C)
|
35.1 (1.7)
|
35.7 (2.1)
|
37.3 (2.9)
|
39.9 (4.4)
|
45.2 (7.3)
|
50.4 (10.2)
|
55.0 (12.8)
|
53.7 (12.1)
|
47.2 (8.4)
|
41.3 (5.2)
|
38.7 (3.7)
|
35.3 (1.8)
|
42.9 (6.1)
|
最低気温記録 °F (°C)
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1 (−17)
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5 (−15)
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15 (−9)
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20 (−7)
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24 (−4)
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30 (−1)
|
35 (2)
|
30 (−1)
|
24 (−4)
|
20 (−7)
|
12 (−11)
|
−1 (−18)
|
−1 (−18)
|
降水量 inch (mm)
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4.77 (121.2)
|
3.95 (100.3)
|
3.38 (85.9)
|
2.12 (53.8)
|
1.36 (34.5)
|
0.68 (17.3)
|
0.32 (8.1)
|
0.30 (7.6)
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0.64 (16.3)
|
1.93 (49)
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5.04 (128)
|
6.49 (164.8)
|
30.98 (786.9)
|
降雪量 inch (cm)
|
0.4 (1)
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0.2 (0.5)
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0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0.3 (0.8)
|
0.9 (2.3)
|
平均降水日数 (≥0.01 in)
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16.7
|
14.2
|
15.7
|
12.4
|
8.6
|
4.5
|
1.8
|
2.0
|
3.5
|
8.0
|
17.0
|
17.4
|
121.8
|
平均降雪日数 (≥0.1 in)
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0.3
|
0.3
|
0.1
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0.1
|
0.3
|
1.1
|
出典:NOAA [10]
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人口動静
人口推移
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年 |
人口 |
|
%±
|
1880 | 250 | | — |
1890 | 1,432 | | 472.8% |
1900 | 2,290 | | 59.9% |
1910 | 3,897 | | 70.2% |
1920 | 4,200 | | 7.8% |
1930 | 4,666 | | 11.1% |
1940 | 6,028 | | 29.2% |
1950 | 8,116 | | 34.6% |
1960 | 10,118 | | 24.7% |
1970 | 12,455 | | 23.1% |
1980 | 14,977 | | 20.2% |
1990 | 17,488 | | 16.8% |
2000 | 23,003 | | 31.5% |
2010 | 34,533 | | 50.1% |
2018(推計) | 38,191 | [11] | 10.6% |
Source:[12]U.S. Decennial Census[13] 2018 Estimate[14] |
以下のデータは2010年国勢調査に基づく[15]。
基礎データ
- 人口:34,533人
- 世帯数:14,313世帯
- 家族数:8,700家族
- 人口密度:1,226.6人/km²
- 住居数:15,561軒
- 住居密度:552.7軒/km²
人種別人口構成
世帯と家族
- 18歳未満の子供がいる: 30.7%
- 結婚・同居している世帯: 41.3%
- 未婚・離婚女性が世帯主である世帯:14.5%
- 未婚・離婚男性が世帯主である世帯:4.9%
- 非家族世帯: 39.2%
- 単身世帯: 32.8%
- 65歳以上の老人1人暮らし: 16.3%
- 平均構成人数
年齢別人口構成
- 18歳未満:24.3%
- 18歳-24歳:8.4%
- 25歳-44歳:23.6%
- 45歳-64歳:25.0%
- 65歳以上:18.6%
- 年齢の中央値:39.3歳
- 男女比
以下は、2000年国勢調査に基づく。
収入と家計
- 収入の中央値
- 世帯: 29,197米ドル
- 家族: 36,284米ドル
- 性別
- 男性: 31,128米ドル
- 女性: 23,579米ドル
- 人口1人あたり収入: 16,234米ドル
- 貧困線以下
- 対人口: 34.9%
- 対家族数: 12.2%
- 18歳未満: 20.8%
- 65歳以上: 7.3%
政治
市議会のデータは以下の通り。
経済
製材業が長年にわたり主要産業であった。しかし、1970年代初めから木材の収穫量、生産量、加工量が徐々に減少をはじめ、それに伴って地域経済も衰退し始めた。それ以来、主要産業がアウトドア関連やヘルスケアへと移行をはじめ、さらにオレゴン州で大麻が合法化されたことに伴って大麻関連産業が成長しつつある。
芸術文化
年間行事
毎年5月の戦没将兵追悼記念日のある週末、リバーサイドパークでボートニックというお祭りが行われ、スピードボートレースやカーニバルが開催される[16]。
名所
ダウンタウンにあるヒストリック・ローグシアターは1938年開設したアール・デコ調の劇場である。1999年に一度閉館したのち翌年に非営利の演劇センターとして再オープンした[17]。
グランツパス郵便局には1938年に描かれたテンペラ壁画が2枚飾られている。壁画にはニューディール時代のオレゴン州の様子が描かれている。1枚目は「ローグ川のインディアン」2枚目は「初期の保守的な産業」という題である[18]。
ローグ川に架かるケーヴマン・ブリッジは1933年に設置され、2019年に修復工事が施された。この橋は長年にわたってグランツパスのランドマークである。
マスメディア
新聞
グランツパス・デイリークーリエ(Grants Pass Daily Courier)という日刊紙が存在する[19]。1885年4月3日に週刊紙グランツパス・クーリエとして創刊、翌年にローグリバー・クーリエという名前に変更した。1899年9月18日、日刊紙になる際に現名称になった[20]。
教育
- グランツパス高校
- イリノイバレー高校
- ノースバレー高校
- ヒディンバレー高校
レッドウッドにメインキャンパスを置くローグコミュニティカレッジはメドフォードとホワイトシティにもキャンパスを設置している。
道路
鉄道
空港
著名な住人
姉妹都市
脚注
- ^ “2018 U.S. Gazetteer Files”. United States Census Bureau. Feb 12, 2020閲覧。
- ^ “Quickfacts.census.gov”. 6 September 2023閲覧。
- ^ “U.S. Census website”. アメリカ合衆国国勢調査局. 2008年1月31日閲覧。
- ^ “US Board on Geographic Names”. United States Geological Survey (2007年10月25日). 2008年1月31日閲覧。
- ^ Row, D.K. (23 February 2011). “Interpreting Oregon's population shift from the 2010 Census”. The Oregonian. http://www.oregonlive.com/pacific-northwest-news/index.ssf/2011/02/interpreting_oregons_population_shift_from_the_2010_census.html 13 March 2011閲覧。
- ^ “The Early 1800's: Our History”. City of Grants Pass. 2012年6月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月25日閲覧。
- ^ “Our Name: Our History”. City of Grants Pass. 2012年7月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月25日閲覧。
- ^ “The Late 1800s: Our History”. City of Grants Pass. 2012年7月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月25日閲覧。
- ^ “GRANTS PASS, JOSEPHINE COUNTY, OREGON USA Weather History and Climate Datta”. World Climate. 2020年4月25日閲覧。
- ^
“NowData - NOAA Online Weather Data”. National Oceanic and Atmospheric Administration. 2012年4月15日閲覧。
- ^ “Population and Housing Unit Estimates”. June 4, 2019閲覧。
- ^ Moffatt, Riley. Population History of Western U.S. Cities & Towns, 1850-1990. ランハム: Scarecrow, 1996, 210.
- ^ アメリカ合衆国国勢調査局. “Census of Population and Housing”. October 3, 2014閲覧。
- ^ “Population Estimates”. アメリカ合衆国国勢調査局. June 8, 2018閲覧。
- ^ “Census.gov”. アメリカ合衆国国勢調査局. 2020年4月25日閲覧。
- ^ “Boatnic Home”. 2020年4月25日閲覧。
- ^ “About”. The Historic Rogue Theatre. 2020年4月25日閲覧。
- ^ “Grants Pass, OR New Deal Art”. wpamurals.com. 2020年4月25日閲覧。
- ^ “Grants Pass Daily Courier”. 2020年4月25日閲覧。
- ^ “Josephine County Historical Society's “Passport To History””. Daily Courier. 2011年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月25日閲覧。
- ^ Stafford, Nikki; Burnett, Robyn (2004). Uncovering Alias: An Unofficial Guide. ECW Press. pp. 147. https://books.google.com/books?id=zUIf8MwqMUAC&lpg=PP1&pg=PP1#v=onepage&q&f=false
- ^ Barrier (July 2014). “Thoughts on Carl Barks's Hundredth Birthday”. Michael Barrier. 2020年4月25日閲覧。
- ^ “Archived copy”. 2005年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月2日閲覧。
外部リンク