アサ科
アサ科(アサか、学名:Cannabaceae)はバラ目に属する植物の科の一つ。 形態共有派生形質としては、目立たない単性花、花被片に対生する雄蕊、托葉の存在、花被片に沿って伸びる花糸などが挙げられる[2]。 生態人間との関係薬用本科でもっとも有名な薬用種はアサ(Cannabis sativa)である。アサは医療や乱用について論じる場合は大麻やマリファナと呼ばれることが多い。特に知られた有効成分はテトラヒドロカンナビノール(英:Tetrahydrocannabinol,略称THC)であり、他にも学名Cannabisから取ったカンナビノイドと呼ばれる各種の成分を含む。特に葉や花に多く含まれるので、これを食べるもしくは喫煙などによって摂取する。服用すると陶酔状態になるといい、インドなどでは宗教的な瞑想などにもよく用いられる。樹脂を固めたものにも同様の効果があり、ハシシと呼ばれるほか見た目が茶色い塊でチョコレートに似ていることから「チョコ」などとも呼ばれる。地域によっては医療大麻として緩和医療等に用いられる一方で、大麻服用により陶酔や多幸感を得られるとしてこれらを乱用する人もおり、薬物乱用の一種であるとして社会問題になっている。
食用アサ属の種子は食用にでき、身近なところでは七味唐辛子の具材の一つである。また、油を搾り食用や石鹸の原料とすることもできる。 カラハナソウ属はビールの原料の一つとして知られるホップの仲間であり、ホップは和名をセイヨウカラハナソウという。利用される部分は雌株に付く雌花の成長した果実であり、特に受粉していないものをである。乾燥させたうえでビールに入れられて爽快感、香り、苦みなどを与える。また、ビールの保存性を高めるともいわれている。
木材繊維アサ属(Cannabis)の茎から取れる繊維は麻と呼ばれ、布や紐や紙を作ることができる。 日本では繊維としての麻という言葉は広義に使われることも多く、別科の植物で分類的には遠縁の亜麻(アマ科のアマ Linum usitatissimumの茎の繊維)や苧麻(イラクサ科のカラムシBoehmeria nivea var. nipononiveaの茎の繊維)を含むことがしばしばある。また、家庭用品品質表示法別表(第一条関係)により商品の原材料に「麻」と書いてあった場合は亜麻か苧麻のことしか指せない。このため狭義の麻を特に指定したい場合は大麻、もしくは英語のhempからヘンプと呼び、亜麻や苧麻もそれぞれ英語のlinen、ramieからリネンやラミーなどと呼んで区別する場合がある。
花粉症の原因植物としてカラハナソウ属などは花粉症の原因となることがあるという。 分類下位分類10属におよそ70種が属する[2]。
系統
過去の分類体系クワ科に含められていたアサ属とカラハナソウ属が分離されて設立された。他の属はニレ科のエノキ亜科とされていたが、APG植物分類体系で本科に移された[2]。 脚注
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