あぶらだこは、1983年に結成された日本のロックバンド。
概要・来歴
現在のメンバーは長谷川裕倫、大國正人、小町裕、伊藤健一の四人。メンバーチェンジや一時期の活動休止を含むものの、結成から現在まで三十年にわたり活動を続けている。ただしメンバー全員が一般職との兼業であるため、その活動は不定期かつマイペースである。
バンド名は、バンドを結成したころに長谷川がアルバイトをしていたゲームセンターの店長が、怒ると脂ぎって蛸の様になることからつけられた。
1981年頃、長谷川がギター、和泉明夫がボーカルをそれぞれ担当していた「変態クラブ」というバンドが前身である。俗にADK時代と呼ばれる最初期のあぶらだこは、レーベルの性格上ハードコア・パンクバンドシーンの代表的存在として認知されていた。しかし、ADK時代の1stアルバムから独特のユーモア感覚や構築性は既にあらわれており、イズミのノイジーかつフラッシーなギターやマルのパワフルでストレートなドラミングと、ヒロシのメロディアスなベースやヒロトモの声色・間などにおいて独特なヴォーカルは対照的な性格を有していた。『ADK盤』の発売後はマルの脱退によってハードコア色は一層希薄化し、当時都内のアンダーグラウンドで活動していた吉田達也がヘルプ参加してからは、現在にまでつながる性急な展開と執拗なリズム変化を基調とした音楽性を確立。伊藤加入以降も徐々にサウンドは変化し、それらのジャンルでは括りきれない独自の音楽性を保持するに至った。
その音楽性は長谷川の奇妙なヴォーカルと現代詩を髣髴とさせる難解な歌詞、それにぴったりと呼応するアンサンブルによって形成される。歌詞の自由詩的リズムに同期したアンサンブルは、楽曲としての体裁を危うくしかねないほど過剰な変拍子やポリリズムが盛り込まれ、短い時間に性急な展開を持たせているのが特徴である。近年では初期の比較的ストレートな攻撃性は薄れ、プログレッシヴ・ロック、スカム、雅楽、(非テクノ的な)アンビエント・環境音楽、現代音楽など、様々な音楽性を内包したものになっていると同時に、奏者たち独特の「間」を持たせたリズム解釈がより顕著となっている。一般的な観点からすると、一聴して取っ付きにくい音楽性である。
2009年2月7日開催の「あぶらだこ 二十六周年 ワンマン」以降ライブを行っておらず、実質的に活動休止状態である。
メンバー
- 長谷川 裕倫(はせがわ ひろとも)
- ボーカル担当。ギターや篳篥も演奏する。愛称「ヒロトモ」。島根県安来市出身。
- 近年は内田静男とのユニット「長谷川静男」や、大國・内田と結成したバンド「kito-mizukumi rouber」で活動中。
- 大國 正人(おおくに まさひと)
- ギター担当。1998年9月加入。神奈川県横浜市出身。
- バンド「kito-mizukumi rouber」で活動中。
- 小町 裕(こまち ひろし)
- ベース担当。愛称「ヒロシ」。東京都新宿区出身。
- 2009年に元ドラムスの丸井・元NURSEのヴォーカルNECOと「D・O・T」を結成し活動中。
- 2023年4月に脳卒中により現在は療養中ながら少しずつライブ活動も開始している。
- 伊藤 健一(いとう けんいち)
- ドラムス、コーラス、合いの手担当。1985年10月加入。埼玉県蓮田市出身。
過去のメンバー
- 和泉 明夫(いずみ あきお)
- ギター担当。元チフス、変態クラブ。愛称「イズミ」。1996年に脱退。高円寺百景の創設メンバーでもあった。
- 丸井 義則(まるい よしのり)
- ドラムス担当。愛称「マル」。1984年にLip Creamに参加。1985年2月に脱退しLAUGHIN' NOSEに参加(1990年に脱退)。
- 2009年にベースのヒロシとD・O・Tを結成。
サポートメンバー
- 吉田 達也(よしだ たつや)
- ドラムス担当。通称『木盤』の録音と当時のライヴ活動でのサポート。
作品
オリジナルアルバムのタイトルはすべて『あぶらだこ』であり、それぞれジャケットのアートワークに即した通称がある。
インディーズ
- あぶらだこ (1983年7月31日、ADK-05S)
- 通称『ADKソノシート』。廃盤。
- ラニングハイ/忍耐/エルサレムの屈辱/絶句/無/原爆
- あぶらだこ (1984年9月10日、ADK-17)
- 通称『ADK12インチ』。廃盤。
- WHITE WOLF/LOGOS/煉瓦造りの丘/童愚/鏡の風景/OUT OF THE BODY
シングル
- 翌日 (2002年9月8日)
- 翌日 (2004年1月24日、PX-115、PHALANX)
- 上記と同様の音源を紙ジャケット仕様のプレス盤として再発売したもの。1曲入り(23分41秒)。
- 翌日 12” (2022年7月20日、KRSE40)
- 上記と同様の音源を収録した、片面のみの12inchシングルアナログ盤。
- 2004年の紙ジャケットを可能な限り再現した、帯付きA式ダブルジャケット仕様となっている。
アルバム
参加作品
発売日
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タイトル
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規格品番
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収録曲
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備考
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アルバム
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1983年12月16日
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GREAT PUNK HITS
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25JAL-2
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「米ニスト」「クリスタル・ナハト」
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ハードコア・パンクバンドによるオムニバス・アルバム。
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1994年1月1日
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DEVIL FROM THE EAST-A DECADE OF YOSHIDA TATSUYA
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ZIKS BB-014
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「BUY」(1985年夏のライブテイク)
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吉田達也の参加楽曲のコレクション・アルバム。
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1998年4月22日
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UNDERGROUND SEARCHLIE『スケキヨ』
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MVCH-19002
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「横隔膜節」を提供、演奏。
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1998年5月21日
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UNDERGROUND SEARCHLIE『アオヌマシズマ』
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MVCH-19003
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「これが私の登山口」を提供、演奏。
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2000年7月16日
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極東最前線
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SAKASHO-16
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「横隔膜節」
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eastern youth監修のオムニバス・アルバム
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2001年5月23日
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WAX the ALBUM
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TKCA-72142
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「生きた午後」「五百段階右折」「徒歩記」
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徳間ジャパンコミュニケーションズ
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2005年2月23日
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レベルロックス~魂の叫び 二十一世紀の言霊~
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TKCA-72836
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「ダーウィンの卵」
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JAPAN RECORD
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2005年10月1日
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長谷川静男『Gene Packs』
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PSFD-163
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長谷川裕倫と内田静男(滲有無)による即興ユニット
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2006年6月14日
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ROCK is LOFT Red Disc ~SHINJUKU LOFT 30th Anniversary~
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MHCL-798
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「翌日」
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GT music
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2006年10月25日
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爆裂!ニュー・ウェイブ 1980
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VICL-62129
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「エルサレムの屈辱」
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Victor Entertainment
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2009年6月9日
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愛について
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EAR-009
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「波のまにまに果てた島国から / 長谷川静男」
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EAR
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2010年11月10日
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GROOVIN' 昭和! 7 ~ロマンチスト
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TKCA-73577
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「S 60」
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JAPAN RECORD
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2014年4月9日
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Vampillia『the divine move』
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VBR-019
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「tasogare」に長谷川のみ参加。
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Virgin Babylon Records
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DVD
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2002年12月25日
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変拍子DE踊ろう
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MGDV-02
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「これが私の登山口」「肴核」「新世界」「律動」
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2002年7月に表参道FABにて行われた同名オムニバスイベントによる映像。
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2003年12月25日
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DVDマガジン「ウラン」vol.5
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「ひかり号」「生きた午後」
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2003年11月3日に下北沢SHELTERにて行われたライブによる映像。
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ミュージックビデオ
主なライブ
- 1984年12月31日 - NEW YEAR ROCK FESTIVAL 絶対過激!オポチュニストに用はない 12th 1984-1985
- 1985年12月31日 - NEW YEAR ROCK FESTIVAL 13th 1985-1986
- 2001年05月05日 - スペースシャワー列伝 第2巻 ~咆哮の宴~
- 2004年08月01日 - FUJI ROCK FESTIVAL '04
脚注
外部リンク